2019.11.21救済クレソン
今秋からクレソン栽培を始めました。
この飛騨の山奥に移住してから悶々と考えていたこと。
「田舎暮らし」という言葉から醸し出すゆったりとした雰囲気の影に、
地域としての現実的な問題がたくさんあり、それに対して個人として何かできないかなぁ、と。
その一つが耕作放棄地。
平成23年度の調べで飛騨市の耕地面積1,454haのうち約12%の178.4haが耕作放棄地になっている。
計算すると東京ドーム約38個分が放棄されていることになる。
このうち、
「①森林・原野化し、農地に復元して利用することが不可能な土地 農林」
とされているのがなんと東京ドーム約37個分!
農地だった土地が森林や原野化するなんて、かなりの年月が経っているんだろう。
これは流石に個人では力が及ばない。
次に「②基盤整備を実施して農業利用すべき土地」とされているのが
東京ドーム約3分の1(観客席くらいかなー)。
基盤整備が必要なんて、これもハードルが高い。
そして「③直ちに耕作することが可能な土地」とされているのが0.8haで、
小中学校のグラウンドくらい。。。かな。
これなら私たちでも何かできそう。
実際に私たちの近隣でも持ち主が困っている農地がある。
元々は稲作をしていた田んぼで今は休耕田。
山がすぐ近くなのでイノシシ被害が酷くて稲作は諦めたが、
高齢のため草刈りなどの管理も難しくなってきた。
このような土地を再び田や畑に戻して作物を栽培しよう!というのは、
言うのは簡単だけど実行するのは難しい。
耕作放棄地になったのには時代の流れにより個人ではどうしようもない理由がある。
でもこのままでは
→今はまだ③の土地でも①にような森林になってしまう。
→するとそこにもイノシシなどの動物が住むようになる。
→どんどん里に動物が進入してくるようになる。
→動物被害で作物を栽培するのが難しくなり放棄地になる。
→「やっぱり田舎よりも街で作物を買う生活にしよう」と人口減少。
小さい集落での人口減少は、残っている住民の負担が大きくなる。
個人として生きているようで、実際は共同体として集落を管理する事柄がとても多い。
他人の土地だけど、耕作放棄地が増えるのは身に迫ってくる問題なのだ。
この問題を時代を逆行するだけの方法ではなく、
何か新しい形でこの問題を改善する方向に変えていけないか。
色々と探して模索して見つけた方法がこれ。
「休耕田で水耕栽培」
パイプで枠を作り、ブルーシートでプールを作る。
水を流し入れる口と出す口を作り、水が絶えず巡るようにする。
開発者が特許を取った穴の開いた特殊なパネルに苗をはめ込み、
水を張ったプールにそのパネルを浮かべる。
この方法の利点。
排水設備が整った休耕田を利用できる。
土地の面積に応じてプールの大きさを変えられる。
通常の水耕栽培に比べて設備投資が格段に安い。
栽培期間中、農薬を使用しなくても育つ。
パネルが水に密着しているため台風などの風にも煽られない。
私たちのトマトの収穫時期に重ならないため両立できる。
このパネルの開発者に連絡と相談をし、
試しにクレソンとレタスを栽培することになりました。
このクレソン。。。栄養価がすごい!知らなかった!
ただのステーキの添え物だけじゃない。
いや、ステーキの添え物にするにも意味があった!
→「クレソンの栄養価」
美容に健康に!男性はもちろん女性はモリモリと食べるべき!
クレソンと共に育てるのは赤っぽいサニーレタスと緑がきれいなリーフレタス。
モリモリ食べたいレタスも無農薬で育てられるのが嬉しい。
最初はヒョロヒョロだったクレソンの苗と小さなレタスの苗。
穴にポコポコと入れて水に浮かべ、虫除けに不織布をかけて数週間。
ぐんぐんと育ってきました!
↓クレソン
↓レタス
出荷のためパネルごと持ち上げる。
緑のわしゃわしゃ!
色が褪せたものや根を取り除き、袋に小分けして箱に入れて出荷!
いってらっしゃい!
広葉樹がこの時期美しい山からの谷水で育ったクレソンとレタス。
食べれば食べるほど自分もきれいに健康になり、
それが耕作放棄地対策に繋がるなんていいことづくめ!
サラダにはもちろん、この時期にはクレソン鍋にしても。
生の方がクレソン独特の風味を感じられるし栄養をそのまま取り入れれるけれど、
独特な苦味が苦手な方は少し火を入れると食べやすい。
お鍋にすれば流れ出たビタミンCもスープごといただいてしまおう。
この時は豚肉と舞茸とフォーのクレソン鍋。
自宅用なのでヒゲ根も細い茎もそのまま。
他の材料に火が通ったら、最後にバッとクレソンを盛る。
クレソンがくたっとしすぎないうちに、フォーとお肉と舞茸と一緒に食べる。
クレソンはすぐになくなるからどんどん入れる。
中華ベースのスープで好みでレモンをキュッと絞ったり胡椒をぱらりとしたり。
このクレソン鍋をレタスに変えても美味しそう。
まずは出来ることから少しずつ。
誰かに負担がかかるのではなく
自分も含めみんなが喜ぶ方法で問題を解決していきたい。