2019.07.08ミツバチ

今年もトマトの着果を促す為にミツバチを導入しました。

 

トマトの着果に促進剤という薬を使う方もいるけれど、

余計な薬は使いたくないし、

トマトの樹の自然なタイミングで実をつけて欲しい。

 

自然界の生態系で成されているように、

蜂が花に掴まり振動して花粉を集め、

この振動によって受粉しトマトの実ができる。

 

天井だけをビニールで覆った雨よけ程度のハウスなので、

蜂が逃げていかないようにネットで前後妻面、側面を覆う。

これで向かい入れる準備はオッケー。

 

宅配便で届いた蜂箱。

日除けを作り、集められた花粉を目当てに蟻が来ないように、少し浮かせる。

 

 

扉を開けるとぶぅぅんという低い振動音が聴こえて、まずは偵察隊の一匹が出てくる。

そして入り口の方に向いて、

「おーい、出てきても大丈夫だそ」という合図を出すかのごときパドリング。

すると我先にとどんどんと蜂がぶんぶんとハウス内に散らばっていく。

 

でもすぐには花に向かわない。

天井の方や入り口のネット辺りでぶんぶんとしている。

 

蜂はとても賢い。

きっと

自分の巣と飛び回れる範囲と方角を

まずは確認しているのではないかな。

 

少し経つと落ち着いていよいよ働き始める。

 

花に掴まってぶんぶん震えては、隣の花に移っていく。

花粉がまだ出ていない花は素通りしていく。

そして脚の付け根辺りに花粉団子をパンパンにくっ付けて巣へ帰っていく。

 

調べると驚き、働き蜂は全てメス。

オスは巣で待っているだけ。

外で働いてきたメスから花粉を受け取るだけ。

オスの仕事は子孫を残すための女王蜂との交尾行動のみ。

交尾を終えたオス蜂は用済みとなって巣を追い出される・・・

花粉や蜜を自分で集められないオス蜂はそのまま死んでいく・・・

 

子どもを産むのは女王蜂一匹だけ。

それ以外のメス蜂は、

女王蜂と子どもたち(女王の子どもであって自分の子ではない)と

働かないオス蜂の為にせっせと花粉や蜜を集め、

子どもの世話や巣の管理までする。

そもそも巣を作るのもメス蜂が行う。

 

ワタシって何の為に働いてるんだろう・・・

オレの一生って・・・

とか蜂たちが思わずにただひたすらに。

個の幸せよりも族の繁栄。

切ないけれど、その生態のお陰で植物が育っている。

 

 

しかし、

そんな健気に映る蜂にも、人間臭い面がある。

 

蜂には巣箱からの行動範囲が限られているため

巣箱一箱で蜂をハウス全体を行き渡らせられない。

なので、定期的に巣箱を置く場所を変えている。

 

この巣箱は出入り口を操作できて、

夕方蜂が収集から帰ってきた後、外に出られないようにしておくことができる。

そうして巣箱に蜂を回収した翌朝、違うハウスに移動させる。

 

しかし時々、

移動して巣箱がないにもかかわらず、

前日まで巣箱があったあたりを数匹の蜂が彷徨っている姿を見ることがある。

 

これはちゃんと夕方巣箱に帰らず朝帰りした蜂たち。

夜遊びしている間に家がなくなっている、という悲劇。

あれ?家がない!とウロウロ。

どうやら働き蜂の中にもサボる蜂がある程度いるらしい。

葉の裏にじっとしていて、仕事してきました〜としれっと巣に帰る蜂もいる。

 

ただひたすらに生きている蜂にも、個性というものがあるらしい。

 

 

あともう一点大切な事。

私たちがトマトの着果にミツバチを導入するにあたり、

ハウスの周りをネットで覆うのは周りの生態系を壊さないため、だとしてきた。

ハウス周りには元々そこにいるミツバチがいる。

私たちが導入したのも日本のミツバチだけど、

自然の生態系によそ者が混ざらないようにハウス内で一生を終えるようにさせる必要がある。

 

それが主な理由だけど、それだけではなかった。

他の花の魅力の虜になってしまうのを防ぐ為だ。

 

ハウス周りには色々な草花が生えている。

特に、シロツメクサがいたるところに咲いている。

どこにでもあるこのシロツメクサ。

蜂にとってはとても甘くて魅惑の蜜を持っている。

 

対してトマトの花。

蜜はなく花粉がわずかにあるのみ。

 

どちらが蜂にとって魅力的に映るか。

カサカサの花粉か、甘〜い蜜か。

 

 

ずっとハウス内でわずかなトマトの花粉を集めてはみんなが待つ巣へ戻り、

「今日も少なくてごめんね」とか言いながら(勝手なイメージ)

せっせと甲斐甲斐しく働いていた働き蜂も、

何かの拍子にハウスの外に出てしまい、

シロツメクサの甘い蜜を舐めてしまったらどうなるか。

 

一度知ってしまったらもう引き返せない蜜の味。

その蜂はもうシロツメクサの虜。

 

外に出てしまった蜂を網で捕まえて中に入れると、

一応は巣には戻るけれど、もうトマトの花粉は集めなくなってしまうらしい。

シロツメクサの甘い蜜の前にトマトの花粉は霞んで見える、ということか。

 

シロツメクサの虜になった蜂が戻った巣箱内では、

きっとその蜂が他の蜂たちに

「このネットの向こうの世界に甘くて美味しい蜜があったわよ!

こんなカサカサした花粉じゃなくて!」とか吹聴するに違いない。

蜂は賢い。

情報交換だってしているに違いない。

 

トマトの花粉を集めるように育てられた蜂たち。

人間が勝手に操作したものは責任を持って最後まで。

シロツメクサの蜜の存在を知らせずに、

トマトの花粉に蜂の一生を全うしてもらおう。

 

ただ今大玉トマトは子どもの握りこぶしくらい。

ミニトマトは1段目が鈴なりになってきました。

蜂の働きもあり、

もう少しで収穫ができそうです。

 

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