2018年9月 のアーカイブ

2018.09.13取捨選択

大げさではなく、人生は選択の繰り返しで。

どれかを選ばなくてはいけないとして、

選んだ結果がどうであれ選んだ道が最善なのだと思うようにしている。

 

 

先日の台風21号。

私たちのハウスは頑丈なガラス張りのものではなく、鉄骨にビニールをかけたタイプの物。

以前にも台風の暴風でビニールがはがされ、その引っ張られる力で鉄骨がぐにゃりと曲がってしまったことが。

 

台風が発生し、飛騨に接近するというニュースを知った時に選択するべき道。

1、ハウス全体をビニールで密封する。

→一つの箱のようにする。

2、天井ビニールはそのままで、ハウスの前後横を開けて風が通るようにする。

→少し風が強いけれど耐えられそうなとき。

3、天井ビニールも降ろして鉄骨だけにする。

→猛烈な風の時。

 

少し悩みましたが、進路と勢力から3を選びました。

 

もし1,2を選び、台風がハウスが耐えられる以上の勢力だった場合。

暴風により天井ビニールなどが破れる。

煽られる力によってハウスの鉄骨に付加がかかり、最悪の場合ハウスがゆがんだり潰れてしまう。

この場合、今期の収穫はもちろん絶望的で来年はハウスの建設から始める必要がある。

新しい設備を購入しなければいけなくなり、費用がかかる(保険があるが全額ではない)。

 

3を選んだとしても、トマトが確実に雨風にさらされる。

普段は雨除けをして水も最小限でしかあげていない状態なので、

急に大量の雨をかぶると実が割れたり病気になったりする。

 

 

どれを選んでもそれなりのリスクがある。

 

何年も農業をやってきて必要だと感じたこと。

情報収集、経験、勉強、信念に加えて決断する勇気と潔くあきらめること。

 

台風が接近するのは仕方がないとして、

それでも最小限の被害で収めるにはどうすればよいのか。

どれを選んでも「絶対に大丈夫」という保証はなく、

 「選ばなかった方法でも大丈夫かもしれない」という思いがまとわりつく。
しかし現実として台風は近づき、
選択するのは自分で、対策作業をするのも自分で、責任を負うのも自分で。
選択するのは怖いけれど、勇気をもって決断する。
守るモノの前の小さな被害はあきらめる。
そして9月4日の夕方。
暴風雨とともに台風21号が通り過ぎて行きました。
ビニールを降ろしておいたことでハウスの倒壊の恐れはないためか、
以前降ろさなかった時のように吐きそうになるくらいに心配になっていたことはなく、
過ぎ去った後のどういう手順で復旧させていくかを話し合うことができました。
5日の朝、状況を見に行くと、
外れた番線で隣に寄りかかるトマトの樹の列、倒れた樹、落ちたトマトの実。
想像できた光景なので比較的冷静に受け入れることができました。
さぁさぁ、片付けましょう。
そしてまたビニールを張りなおして出直しましょう。
鉄骨の横に縛り付けておいたビニールに雨水がたまり、
それをバシャッと流すのにも時間がほど。
ただでさえ重たいビニール(ビニールといっても分厚いため)。
濡れたビニールを天井にあげるのはかなりキツイ。
幸いにも次の日は晴天。しかし予報では晴れ間は2日間のみ。
これ以上トマトが濡れないように急いで急いで。
なんとか天井ビニールを晴れている間に張り直し、もうへとへと。
これ以上濡れる心配がなくなった後、倒れた樹の起こし作業。
これも最近終えました。
他の地域の被害情報を聞くと、全ハウスのビニールが飛んだりハウスがぐにゃりと曲がったり。
もう今期は絶望的な状況な方々が多い。
私たちもトマト自体に被害をけっこう被ったけれど、
まだまだ収穫できることを喜ぼう。